

今年も終業式の翌日、わが家はオーストラリアへと飛び立ちました。家族で渡航するのは今年で3回目。そして、現地校へのターム留学は2回目となります。宿泊先も、通う学校も去年と同じ。一つ違っていたのは、帰国時期の計画でした。去年は9月末まで滞在したため、日本の学校に戻ったあとの学習のキャッチアップに少し苦労した経験があります。そこで今年は無理のないスケジュールを優先し、9月1週目までの滞在と決めてのスタートでした。
オーストラリアに到着した翌日、登校初日を迎えました。早速、車から降りる息子の表情を見て、去年との違いを感じます。去年は見るものすべてが初めてで、どこか緊張した硬い表情。しかし今年は、知っている場所、知っている環境、そして大好きな友だちや先生がいる安心感からか、とても晴れやかで余裕すら感じられます。

校庭に入ると、すぐに旧友たちが息子の姿を見つけ、「○○(息子の名前)〜!」と名前を呼びながら笑顔で駆け寄ってきてくれました。去年の担任の先生も、温かいハグで迎えてくれます。今年も、学校生活で何かあったときに助けたり案内したりしてくれるパートナー「バディ」をつけてもらい、 嬉しそうに教室へ入っていく息子。初日の放課後、彼が真っ先に教えてくれたのは、友達からの嬉しい言葉でした。「友達にね、You are my best friend!って言われたんだよ!」その言葉どおり、初日から休み時間には夢中でサッカーを楽しみ、帰りのおなじみのバスのメンバーともすっかり打ち解けておしゃべりを楽しんでいたようでした。

実は、今回の留学を迎えるにあたって、少しだけ心配していたことがありました。去年は同じクラスに日本人の女の子がいて、彼女が通訳をしてくれたり、困ったときに助けてくれたりしていました。けれども、今年は彼女が転校してしまい、頼れる存在がいません。「大丈夫かな?」という親の心配は、すぐに吹き飛ぶことになります。息子のコミュニケーション力と自立心は、親の想像以上にたくましく育っていました。去年よりも相手の言っていることが理解できるようになり、自分の思いも言葉にできるようになっている。さらに、伝えたい単語が分からないときは、電子辞書を自ら引いて調べて伝えているのだそう。困ったことがあれば自分で解決できる術を、いつの間にか身につけていたのです。
休み時間はサッカーやラグビーを思いきり楽しむため、「ランチは早く食べ終わるものにして!」とリクエスト。購買(タックショップ)で自分で選んでおやつを買ったり、「放課後のサッカー教室に入りたい!」と週1回のレッスンに挑戦したり。音楽の授業では一人1台貸し出されるバイオリンを持ち帰り、習ったばかりの音色をとても誇らしげに披露してくれました。異文化の中でも、オーストラリアで流行しているキャラクター「ウーシーズ」の交換をしたり、日本の食べ物の話をしたり、大好きな『鬼滅の刃』のマンガを持っていったり。日本の学校でお友達と過ごすのと変わらない自然体で楽しんでいます。得意の算数では相変わらず圧倒的なスピードを見せ、周りの友達から「What!?」と驚かれる場面もあったそうです。
そんな学校生活の中で、息子の心を特に満たしてくれた出来事がありました。こちらの学校には、担任の先生が「特別に輝いていた子」の素晴らしい行動や姿をメッセージカードに書いて手渡してくれる素敵な取り組みがあります。毎日もらえるものではなく、全員がもらえるわけでもない、特別なカード。
ある日、算数の時間にそのカードをもらってきた息子は、本当に嬉しそうにその価値を語ってくれました。子どもの小さな良いところ、輝いている瞬間を見逃さず、言葉にしてしっかり褒めてくれる。そんな褒め文化が、彼の自己肯定感をさらに深めてくれたと感じます。

まだ留学期間の折り返し地点にも来ていない、なんと登校1週目のこと。早くも息子からこんな言葉がこぼれ出しました。「あ~、日本に帰りたくないな。今年は去年より早く帰ることにしちゃったの、後悔してきた…」去年は無事に通い切った安堵感が大きかったように思いますが、今年は始まって早々に「帰りたくない」という言葉が出るほどの夢中ぶり。
オーストラリアが好き、この学校が好き、この仲間が好き。国境を超えて、自分らしくいられる「もう一つの居場所」を自らの手で作り上げた夏。この体験と自信は、これから先の彼の人生をきっと明るく照らし続けてくれるはずです。