体験は、学びの一丁目一番地

1年生を担任していたときのことです。生活科の授業で「家庭生活やそれを支える家族」についての学習を進めていました。おうちの仕事について、どんなものがあるのかを出し合ったり、絵に描いたり・・。生活科は図工や音楽と並んで、こどもたちの好きな時間。みんな、きらきらと目を輝かせ、声を弾ませています。

そこででてきた、たくさんの「やってみたい!」の声。声に応えるべく、当初予定していなかった「洗濯ものを干す」という活動を行ってみることにしました。持ち寄った服を集めて、水で濡らして、固く絞ります。ここまでは教師である私の仕事。その後はこどもたちが主役となり、衣服をハンガーにかけたり洗濯ばさみで挟んだりして、干していきます。

「重い!」「楽しい!」「冷たくて気持ち悪い!」「しわが伸びない!」「できた!」感嘆の声に包まれた教室には笑顔が溢れ、1時間で終わるはずだった授業は、2時間コースになりました。「洗濯って大変。」「おうちの人にありがとうと言いたい。」「帰ったら、お手伝いをする。」時間はかかったけれど、こどもたちから出てきた言葉が授業の充実度を表していました。

体験に基づく学びの効果は絶大です。これは、ビジネスの世界でも同じこと。システムの使い方をお客様に教える時は、説明書を渡すよりも直に触れてもらったときのほうが、利用定着につながります。体験させることは、一見すると非効率。けれども、自分事として捉えられるからこそ生まれる発見や喜びこそが、大きな学びにつながっていくのだと思います。