3月上旬。LOUPEでは、みそづくりの体験教室を開催しました。まずは無事に開催できたこと、関係者の皆様やご参加くださった皆様に感謝を申し上げます。当日は、原材料となる「大豆」をはじめ「微生物の働き」についてまで思考を巡らせ、広がりのある学びの時間となりました。
今回は特別編ということで、サステナブルな生活スタイルを実践し、食に関するイベントなどを多数行っている”はーちゃん”をゲストにお招きし、みその作り方を教わりました。
まずは材料を準備するところから学習が始まります。必要な材料は、大豆・塩・麹の3つだけ。非常にシンプルですが、スーパーで売っている完成品しか目にしたことがないこどもたちにとっては未知の世界です。原材料を予想するクイズでは、納豆、醤油、砂糖などの声が上がっていました。大豆が水を吸って元の大きさの2倍以上に膨らむことや、麹が蒸したお米からできていることなど、初めて知ることばかり。準備の段階から思考をフル回転させ、自らの生活体験と紐づけながら理解を深めていきました。
もう一つ。今回はみそづくりに入る前に、みその発酵にかかせない「麹菌」の働きを知ってもらうため、『ちいさなちいさな、めにみえないびせいぶつのせかい』という絵本を読みました。コロナ禍の今、微生物というと菌やウィルスなど体に害を及ぼす存在ばかりが意識に上りがちです。しかし本来、微生物は生き物が生きていくうえでたくさんの仕事をしてくれている、とても大事な存在です。身の回りには、目に見えないほど小さな微生物がたくさんいること。彼らの働きによって地球の様々な生き物が循環しているということ…。共に生きる存在として、微生物の存在を捉える機会になったのではないでしょうか。
そして、いよいよ楽しみにしていたみそづくりの時間がやってきました。5時間もの間、コトコトと火にかけて準備した大豆はふっくらと柔らかく煮あがっています。これらを、豆の形がなくなるまでつぶしていきます。機械であればものの数分で終わってしまう作業。しかし、実際に素手で行ってみるとなかなかうまく進みません。みそづくりは、想像よりも根気のいる作業なのです。ようやくつぶし終えた大豆と麹と混ぜながら、「みそづくりって意外と大変なんだね」こどもたちからは、そんな声が挙がっていました。
最後に、つぶした大豆を麹と混ぜ合わせ専用袋の中に詰めたら完成です。しかし、これで終わりではありません。みそには熟成が必要。食べられるのは、半年後です。「美味しく育つといいなぁ。」と言いながら、各々がみそ袋にメッセージを書き込む姿が印象的でした。
「みそづくりをしよう!」から始まった本プロジェクト。今回取り上げたテーマ以外にも、大豆の生産現場から見えてきた環境問題や大豆の加工食品から学び取れる経済活動など、取り上げきれなかったテーマがたくさんあります。一つのテーマをじっくりと深く学んでいく探究学習。こうした学習方法は、一見すると偏りがあるように見えるかもしれません。しかし、知らなかった世界に気づく喜びや、新たに生じる疑問から「もっと知りたい」 という次なる学びの動機は生まれるものです。LOUPEで目指していきたいのは、そんな学びの好循環。芋づる式に学びを広げながら、幅広い学びの実現を目指していきたいと思います。