近年、教育移住という言葉を耳にする機会が増えてきました。教育移住とは、子どもに合った教育環境を求めて家族で異なる地域に移住し、子どもたちをその土地の学校で学ばせるというもの。リモートワークの普及により場所に縛られない働き方が可能になったことが、教育移住の選択の幅を広げています。国内では、長野県や広島県などで特色ある教育実践を行う学校やインターナショナルスクールが設立され、移住先として注目を集めています。また、海外では予算や時差の関係からマレーシアが移住先として人気を集めているようです。
私自身も去年の夏休み、以前から興味のあったマレーシアのインターナショナルスクールを訪問し、教育実践を目にする機会に恵まれました。マレーシアは多国籍国家ということもあり、180を超えるインターナショナルスクールがあります。私が訪れた4校は、それぞれカナダ式、オーストラリア式、イギリス式のカリキュラムを提供しており、個々に異なる特色を持っていました。
驚いたのは、美しい校舎や広大なグラウンドなどの充実した施設だけでなく、生徒主体の学びが校内に溢れていたことです。廊下やロッカーには、子どもたちのアート作品やサイエンスの実験レポートが掲示され、それらの作品からは定型的な学びではなく深い思考や創造力が伝わってきました。一緒に見学していた息子は、机の向きが日本と違っていたことに驚いていた様子。多様性が当たり前の教室ではインクルーシブ教育が実践され、子どもたちは異なる文化や背景を理解し合いながら、共に学び合いを高めているようでした。
教育の方法も日本とは異なり、アートやサイエンス、プログラミング、音楽など幅広い教科から選択することができるプログラムが魅力的でした。また、環境教育が当たり前に行われており、廊下には廃材アートやペットボトルのプランターなどが設置され、環境への配慮が学校全体に浸透していました。
さらに、4校全てでプロジェクト型の学びが取り入れられていたことも共通していました。日本であれば、歴史、科学、国語などそれぞれの教科ごとに授業が行われますが、いずれも学び方は教科横断型。例えば恐竜をテーマに、歴史やサイエンス、それらをまとめるための国語力などそれぞれの教科を横断して学びを深めるといったアプローチが主流のようです。
多様性、環境教育、教科横断的な学び…。いずれも重要性は分かりつつも想像に留まっていた視点やアプローチでしたが、今回の見学ではそれらを目の当たりにする、学びの多い経験になりました。我が家の場合は、日本の小学校生活が充実していることもあり、教育移住の選択は今のところなさそう。けれどもこれらの教育実践は、今後のLOUPEでの学びに活かせるヒントになりそうです。