日常にあふれる探究の種に目を向けて

日々の暮らしには、探究の種があちらこちらにあふれています。我が家の「チリメン標本づくり」も、日常のそんな一コマから始まりました。「シラスの中に、ピンク色の生き物がいる!」ある日の食卓のこと、息子が目を丸くして声を上げました。彼の指先には、小さなエビのような生き物がちょこんと乗っています。「これは何の生き物なんだろう?」息子が続けてつぶやきました。シラスは網で引き揚げて漁をするため、他の生き物が混じり込むことがあるのです。

早速、息子と図書館へ向かいました。図書館に行けば、チリメンに関する本だけでなく、海の生き物にまつわる絵本や図鑑もたくさんあります。手に取ったのは「チリメンモンスターをさがせ」という本。そのほか海の生き物に関する本もいくつか借りてきて一緒に読んでみると、シラスはイワシの赤ちゃんだということや、無選別のチリメンには、もっとたくさんの生き物が混じっていることがわかってきました。

いよいよ、無選別のシラスを取り寄せて、チリメンモンスター探しが始まりました。チリメンの中はまさに、海の多様性そのもの。ヘビのように長い魚や、鋭い歯を持った魚、ダンゴムシのようなものまで!想像以上にたくさんのモンスターが見つかり、まるで宝探しのようです。モンスターが見つかるたびに息子は大喜び。見つけたモンスターを図鑑で紹介されている写真と見比べながら、種類を特定していきます。その結果、エビの仲間、イカやタコ、カニ、タイやタツノオトシゴまで、全部で20種類ほどの生き物を見つけることができました。大人も一緒になってチリメンモンスター探しに没頭し、あっという間に時間が過ぎていきました。

そして最後に取り組んだのが、「チリメン標本作り」でした。20種類の小さな生き物たちを、厚手の画用紙にひとつひとつ丁寧に貼り付け、名前や珍しさの度合い(レア度)を書き込んでいきます。自分だけのオリジナル標本の完成です。標本にまとめながら、「イワシの赤ちゃんは大人のイワシと違うのに、エビも、カニも、タツノオトシゴも小さいけど、ちゃんと大人と同じ形をしているんだね。」という発見も。驚きと発見、そして学びが詰まった、世界に一つだけの標本が完成しました。

私たちの日常には、つい見過ごしてしまいそうな小さな発見が、宝物のようにたくさん隠れています。特に、こどもと一緒にいると、そんな瞬間に出会うことがよくあります。そんな時、こどもと一緒になって、「何だろう?なぜだろう?」と、興味を向けてみることが、探究の第一歩に繋がります。日々の暮らしの中で出会う小さな驚きや不思議。そこに少しだけ目を向けて、生活の中で楽しめる探究活動につなげてみてはいかがでしょうか?