

昨年から挑戦している、LOUPEのレストランプロジェクト。今年も馬場農園さんにご協力いただき、農園のお手伝いをしながら準備を進めています。はじまりは、11月の稲刈り。子どもたちが手にしたのは、たわわに実った黄金色の稲穂だけではありませんでした。それは、その場で肌で感じた「生きた問い」でした。

収穫の喜びとともに生まれた疑問。「お米がこんなにとれているように見えるのに、どうしてお米の値段は高くなったの?」馬場さんから返ってきた答えは、ひとつではありませんでした。 猛暑による影響、収穫量の減少、そして管理の手間。さらに、JAや流通の仕組み、消費者の不安や行動が複雑に重なり合い、お米の値段が決まっていくということ。

単純に「不作だから」という一言では片付けられない、いくつもの要因がつながって、いま目の前にあるお米の価値が形づくられている。その事実に、子どもたちは驚いている様子でした。 そして、年が明けてからも、きゅうりやトマトの収穫をお手伝いしながら、対話を重ねてきました。
「暑さで収穫量が大きく減ってしまったこと」 「毎日の水やりや管理の手間が、どれほど増えたか」 教室で学んだ地球温暖化の仕組みが、農家さんの流す汗と地続きであることを、子どもたちは五感を通して少しずつ受け止めています。また、 馬場さんに教えていただいた事実をさらに深く理解するため、教室では模型や手作りのすごろくを使った学びにも挑戦。 役割になりきり、社会の縮図を疑似体験する中で、「値段が上がること=悪」ではない、「農業を続けてもらうために、必要な値段がある」 という気づきが芽生え始めました。

並行して進めてきたのは、レストランの運営準備です。 昨年は赤字だったこともあり、今年の目標は「黒字」を達成すること。 調理の練習だけでなく、原価の計算、値段の設定、サイドメニューの構成……。何度も何度も話し合いを重ねてきました。 原価は、材料費だけではありません。お皿やスプーンといった備品、そして目に見えない光熱費や固定費――。

「利益を出すって、こんなに大変なんだ!」 頭を抱え、試行錯誤を繰り返しながらも、自分たちの手で一つひとつ形にしていきました。 こうして「黒字」という目標に向かって、心を込めて準備してきたこどもレストランは、いよいよ来週、本番を迎えます。 彼らが提供するのは、単なる「おいしいカレー」ではありません。

「なぜ、お米の値段は上がったのか」 「いま、私たちにできることは何なのか」 あの日、田んぼで受け取った問いから始まり、自分たちの頭で考え抜いた答えを、お客さまに届けるという「使命」を胸に、子どもたちは厨房に立ちます。 田んぼから始まったまっすぐな問いが、いま、一つのレストランという形になろうとしています。 がんばれ、小さな料理人たち。