ビジネスの場面でも学びの場面でも「なぜ?の腹落ち」は欠かせません。勤めている会社では、新規サービス販売に関する戦略の立案や社員向けの教育に関わっていますが、「なぜの腹落ち」が足りずに、失敗した経験があります。
1年ほど前のこと。当時の私のミッションは、新しく販売を開始するサービスを営業メンバーに売ってもらうことでした。そのために勉強会を開催し、説明用の資料や質問集まで作成。準備万端で臨んだ拡販プロジェクトでしたが、ふたを開けてみるとなかなか売れません。そんな時、「お客さまの課題が想像できないから、紹介しづらくて…」とある営業メンバーから、こんな言葉が挙がりました。
「そうだ。今の私は、教科書の答えと公式しか教えていないのと同じだったんだ。」大切なことに気が付きました。学習指導の場面でも、先に教科書を開いて公式や答えを教えてしまうと、テストはある程度解けるようになるものの、実生活で活かすことができないといった結果を招いてしまうことがあるのです。今回の私は、まさにその状況と同じ。知識ばかりを一生懸命教えようとして、実践に結びつけられるような工夫ができていなかったのです。
本来やるべきだったのは、なぜ、そのサービスがお客様の役に立つのか。誰の困りごとを解決できるのか。これらをしっかりと理解させることだったのです。思いきって、やり方を変えてみました。サービスを使う人たちがどんなことに困っているのか、解像度を高めるワークショップを行い、新サービスを使って解決する方法をみんなで考えることにしました。このやり方は、大成功。遠回りなようで、一番の近道は「なぜの腹落ち」だったのです。