創造性にフタをしない

初夏。息子と一緒に、クリエイティブキャンプに挑戦しました。向かったのは、都心から車で2時間ほどの場所にある森の中。今回参加させていただいたのは、緑豊かな木々に囲まれて、感じたままに絵を描いていくというアクティビティです。家庭用よりもはるかに大きい、マヨネーズみたいな容器に入った絵具たち。これらを使って、大きなキャンバスに思い思いの絵を描いていきます。

最初は、恐る恐る絵具を皿に取り、絵を描き始めた彼でしたが、そのうち周囲の様子を真似て、違う色や道具を試しはじめ、描く線も太く大胆になっていきます。そして、いつの間にか彼自身が「絵」になっていました。髪の毛はピンク色の絵具でパリパリ。さまざまな色が混ざり合い、手足はマーブル模様。どうやら頭からつま先まで、自分自身に絵具を塗りたくったらしいのです。一緒に参加しているこどもたちの中で、全身絵具で染まっているのは息子だけ。私は恥ずかしくなってしまいました。そんな中、彼に浴びせられたのは、賞賛の声でした。「君は、クリエイティブ大賞だね。」私は思わず、制止しようとした声を引っ込めました。

帰宅後。あんなにたくさん絵を描いた後で、息子はなおも工作に励んでいます。褒められたことが嬉しくて、工作魂に火が付いたようです。教育には、思いや願いがあります。だからこそ、ねらい通りにいかなかったり、想像から外れてしまったりすると、方向を導いてしまいそうになります。けれども、それでは今あるものを凌駕する創造性は伸びていきません。息子に、大事なことを教わったこの夏のキャンプを、私は一生忘れないとおもいます。