LOUPEで取り組んでいる探究型学習は、PBL(Project Based Learning)と呼ばれ、アメリカを中心に研究実践が進んでいます。中でもLOUPEでは、アメリカの「High Tech High」(ハイテク・ハイ、以下HTH)という公立学校の取り組みを参考にプログラムを構築しています。HTHは、決まった教科や定期テストのないちょっと変わった学校です。その代わりに、生徒たちはチームで一つのテーマを探究しながら学び合いを深めます。国語や算数といった教科学習で身に着ける知識やスキルは、プロジェクトの中で手段として用いられます。知識やスキルの習得をゴールにするのではなく、それらを用いながら探究を深めていくというアプローチです。
テストがないと聞くと、成績のほうは大丈夫?という疑問が出てくるかもしれません。けれども驚くことに、HTHに通う生徒たちの標準テストの成績は州の平均を上回り、98%もの生徒が大学へと進学しています。従来の教科学習やテストを中心とした学習にはない新たなアプローチ方法を体現し、結果を出している学校なのです。
HTHは2000年に設立された新しい学校ですが、こうした特色ある取り組みが注目を集め、開校以来、世界中から学びに来る先生や企業の方々が後を絶ちません。その取り組みは、ドキュメンタリー映画「Most Likely To Succeed」(成功に一番近い教育とは)としても取り上げられ、一躍有名になりました。私がHTHの取り組みを知ったのも、この映画がきっかけです。
▼「High Tech High」の公式サイト
https://www.hightechhigh.org/
一方、日本の教育はどうでしょうか。実は、探究的な学びの場は「総合的な学習の時間」として設定され、既に各学校で多くの取り組みが行われています。特に2020年から施行されている新学習指導要領では、各教科を横断する形で探究的な学びを重要視していくことが強調されているほか、高校では「探究」が新たな教科として設定されるという大きな動きもありました。ただし、英語やプログラミングなど新たな教科が増えたこともあり、実態としては、探究的な学びを充実させることにはハードルがあるようです。
重要性も効果も立証されている、探究型学習。LOUPEでは、教科学習の枠を超え、このような探究的な学びを中心とした取り組みに力を入れていきたいと考えています。次回の記事では、LOUPEで取り組んでいる探究学習についてお話しをお届けします。