12月の終わりごろ「おせち料理」についての探究の一環で、栗きんとん作りを行いました。料理は教科学習の要素が混ざりあった、とても優れた教材です。とりわけ算数的な活動が多く含まれるため、楽しみながら数量感を獲得するにはもってこいの活動だなとおもいます。
今回の料理を通じて、こどもたちが向き合うこととなったのが「小数」と「重さ」の世界でした。レシピの中にある”砂糖100グラム”。これを計量するのに大苦戦したのです。準備したのは、小数点まで算出できるタイプのデジタル計量器。ねらったわけではないのですが、これが思わぬ学びを呼び寄せてくれました。「この点は何?」器に砂糖を盛りながら計量器に表示された数字をみて、戸惑う表情をみせるこどもたち。どうやら、計量器に示されていた「点」と、学校で学んできた「小数点」が同じものであることに気が付かない様子です。教えてあげたい気持ちをぐっとこらえて、様子を見守ります。砂糖を足したり引いたりしながら、計量器とにらめっこが続くこと数分。一瞬の静寂と緊張が訪れたあと「1グラムより小さいってことか!」Bちゃんが嬉しそうに声を上げました。知識とリアルが結びついた瞬間でした。
それからはじまった一つまみ大会は、大盛り上がり。指につまんだ砂糖を行ったり来たりさせながら、1グラムより小さな重さの世界をたっぷりと味わうことができました。計り終えた100グラムぴったりの砂糖を大事そうに持って「これが100グラムか」としみじみ実感するこどもたちの表情は、なんだかとても誇らしそうでした。
小数もグラム(g)も算数で学ぶのは小学校3年生です。4年生の彼女たちはすでに、小数の加減の問題を解くことも、グラムとキログラムを変換することもできるでしょう。それ自体はとても素晴らしいことです。ただし、こうした算数の知識を生活に活かしていくためには、数量感覚が不可欠です。教科書や問題集から飛び出して、現実の世界で事物に関りながら数量感覚を感じ取ること。この行き来をできるだけ豊かに味わえる経験が、学びにおいてはとても重要だな、と改めて感じた時間となりました。