オーストラリアに学ぶ、日常と地続きのサイエンス

オーストラリアの現地校に通い始めてから、息子が学校から帰ってくるたびに「今日ね、面白い実験をしたんだよ」と話してくれる教科があります。それが「Science(理科)」です。昨年もこちらの理科の授業のユニークさについて触れましたが、今回改めて感じているのは「科学が子どもたちの日常生活と地続きになっている」ということです。

理科室でしか見られない特別な薬品や器具だけではなく、身の回りにあるものを使って不思議を探究する。そんな、子どもたちが自然と引き込まれるオーストラリアのサイエンスへのアプローチをご紹介します。

今年、息子たちが理科で学んでいるテーマの一つが、物質や温度の変化です。授業で扱っているのは、「固体・液体・気体(状態変化)」や「熱伝導・保温」といった、本質的な概念です。そのアプローチがとても身近でユニークでした。たとえば状態変化を学ぶ授業では、バター、氷、そしてアイスクリームを並べて、それぞれがどのように溶けていくのかを観察・比較したそう。

また別の日の「熱伝導と保温」の授業では、保温マグ、プラスチックカップ、紙コップを用意し、それぞれに温かいホットココアを注いで時間の経過とともに温度がどう変わっていくかを測っていました。「状態変化」や「熱伝導」と言葉だけで説明しようとすると、小学生には少し難しそうに感じます。でも、目の前にあるのは「アイスクリーム」や「ホットココア」です。「どれが一番早く溶ける?」「どのカップなら、いちばん温かいままかな?」そんな問いなら、自然と予想してみたくなります。しかも実験が終われば、余ったアイスクリームを食べたり、ココアを飲んだりできるというお楽しみつきです。

教室の片隅をふと見ると、学校のビオトープから汲んできた水・土・砂が瓶に入れられ、沈殿して地層のようになっている様子がいつでも観察できるよう置かれていました。特別な実験セットではなく、「そこにある自然や日常」がそのまま教材になっているのです。

ちょうど今週は、学校全体で科学を楽しむ特別な1週間「Science Week」が開催されています。この期間は学年を超えて科学に触れる機会がいくつも用意されています。中高(High School)のサイエンスラボに行って授業を受けたり、毎日の「科学クイズ」に全校で挑戦したり、植物の成長を捉えた動画をみんなで鑑賞したりと、学校全体が活気にあふれています。昨年はソーダにラムネを入れて吹き出させる実験も行われたそうです。

また、子どもたち自身による参加型のサイエンス・プレゼンテーションもとても印象的でした。全校集会の場で、小学3年生の子どもたちが全校生徒の前に立ち、実験のデモンストレーションを披露したのです。テーマは「紫キャベツの煮汁を使った色の変化」。白衣を羽織り、保護ゴーグルを装着した姿は、まさに小さな科学者そのもの。「レモンジュースを入れたら何色になると思う?」「重曹水ならどうかな?」と全校生徒に予想を問いかけながら実験を進め、色がサッと変わった瞬間には会場全体から「おー!」と歓声が上がっていました。見ている側も巻き込まれ、発表している子どもたちも生き生きとしていて、会場全体で科学の面白さを楽しんでいるような空気がありました。 

身近なところに、科学の入り口はいくらでもあるLOUPEでも、子どもたちと身近な「なぜ?」を拾いながら、科学をもっと身近に感じられる方法を探してみたい。そんなことを考えた、今年のScience Weekでした。